ソフトハウスの新しい形
「仕事はあるが人が足りなくて…」
という悩みは多くの中小ソフトハウスの社長様がお持ちなのではないでしょうか。
特に、金融や電子商取引分野のシステム開発は受注をこなせない状況が続いているとおっしゃいます。
「仕事が多くある」ということで、ソフトハウスを取り巻く環境は非常に良いように見えますが、実態は少し違うようです。
2009年頃に訪れるであろう「ソフトハウス大淘汰時代」を前にした、「小春日和」というのが実態という意見もあります。
ソフトハウス大淘汰時代
2009年を「ソフトハウス大淘汰時代」と呼ぶのには2つの理由があります。
1.ソフトハウスの人不足が続き、成長が頭打ちになること
受託開発は、労働集約的な事業であるため、継続的な発展は事業を維持する人員の確保にゆだねられています。
IT業界では、2008年のJ-SOX対応に基づき、今後、アウトソーシングビジネスの隆盛が一段と増すことになります。それによって大手企業が大量の人員採用に基づく、労働集約的なビジネス展開を行うことが予想されます。
もちろん、ソフトハウス、SIベンダーがその案件を受注することもありますが、そもそもアウトソーシングビジネスを継続していくためには、社員のモチベーションの維持、モラルの向上、クライアントとの関係性、そして大企業が主となる発注者との関係性が重要視されています。
しかし、多くのIT企業では、重要な経営判断を行う経営者層の人材不足や、大企業の大量人員採用による新卒採用難という状況の中で、継続的に受託するだけの営業力を維持するのは難しくなります。
2.後継者の不在
1960年代後半の第一次ブームにソフトハウスを創業した経営者の多くが、2009年頃に60歳を迎えます。
しかし、その大半が後継者をまだ決められていないという現状があります。
このように、今はまだ受注をこなせない程の仕事量があり、一見非常に良い状況に見えても中長期的にみると大きな問題があるのも事実です。
新しいビジネスモデルを
来るべき大淘汰期を乗り越えるために、好景気である今こそリスクを取って「人」に依存した体質から脱却し、新しいビジネスモデルに挑戦するチャンスです。
では、「カネ・ヒト」に乏しい中小ソフトハウスに何ができるのか。
下請けビジネスからの脱却というとほとんどの場合、「パッケージの開発・販売」というパターンになります。
しかし、それはリスクが高く、競争が激しくなった昨今では生き残っていくのはそう簡単なことではありません。
生き残っていくために
そこで、受託開発に加えて、クライアントの要望を受けて開発を行ってきたソフトハウス様に、そのシステム構築に基づく権利ビジネスをご紹介させていただきます。
そもそも、受託開発は典型的な低リスク・低リターンのビジネスです。
しかし、一定のリスクを取れば、ヒトに依存せずに高いリターンが望めるビジネスに変えることができます。
具体的には、ユーザー企業が払うべき開発費用の一部をソフトハウスが負担する代わりに、システムの権利を保有します。
その上で、ユーザー企業が新システムで達成した売上に応じて成功報酬を受け取る仕組みです。
小中学校などに向けた「登下校管理システム」の受託開発で、権利ビジネス化に成功したという事例もあります。
この企業は、サービスに加入する生徒数に応じて、成功報酬を受けて取る契約をユーザー企業と交わし、順調に利益を生んでいます。
もちろん、案件によって向き不向きがあるので、利用者数や売上が見えやすい電子商取引やCRM、組込みソフトなどから案件を選ばなければなりません。
このようにある一定の制約がありますが、人に依存せずに収益が得られる上に、成果物を横展開できるというメリットもあります。
こう考えると、下請け専門、何でも屋のソフトハウスは、戦略の見直しが必要かもしれません。まずは下請けに甘んじず、自ら顧客企業を開拓する努力をしたいところです。
リスクを取って受託開発依存から転換に挑むか、変化を拒むか。
2009年に向けてどういう戦略をとるかというのが鍵になりそうです。
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筆者紹介
株式会社ADCテクノロジー
取締役 木戸 薫 氏
東京電機大学にて工学部機械工学を専攻し、建設機械メーカー、無線機器ベンチャー企業を経て、(株)ADCテクノロジー取締役。買う側にとっての論理で、売る側の論理と、如何に、安定的な収益に繋げていくべきかを模索しそこで、権利を活かした売買手法に興味も持ち、現在はビジネスを権利化ビジネス展開している。












